有限会社ダック 
書類の電子化とは
書類の電子化とは、紙の文書やアナログ形式の情報をデジタルデータに変換するプロセスを指します。書類の電子化によって、紙の書類をコンピューターやその他のデジタルデバイスで閲覧、編集、保存、共有することが可能になります。電子化された文書は、効率的な管理や迅速な情報検索を実現します。
電子文書と電子化文書の違い
- 電子文書：最初からデジタル形式で作成された文書（例：WordやExcelで作成されたファイル、電子メール）
- 電子化文書：元々紙媒体だった文書をスキャンなどでデジタル化したもの（例：紙の契約書をPDF化したもの、手書きのメモをスキャンしたイメージファイル）
主な違いは、作成過程と元の形態にあります。電子文書は最初からデジタルで作られるのに対し、電子化文書は紙の書類をデジタル化したものです。
電子化が注目を浴びる背景
- デジタルトランスフォーメーション（DX）の推進：企業や組織全体のデジタル化の一環として、文書管理のデジタル化が求められている
- ワークスタイルの変化：テレワークやリモートワークの増加に伴い、場所を問わず文書にアクセスする必要性が高まっている
- コスト削減と業務効率化の要求：紙文書の保管や管理にかかるコストの削減
- 環境への配慮：ペーパーレス化による環境負荷の軽減
- 法規制への対応：電子帳簿保存法やe-文書法など、文書の電子化を促進する法整備の進展
- 災害対策とBCP（事業継続計画）：自然災害などによる紙の書類の損失リスクの軽減
- セキュリティの強化：アクセス制御や暗号化など、デジタル文書のセキュリティ機能の充実
- AIやビッグデータ活用への対応：電子化されたデータを活用した分析や意思決定支援の可能性
以上の背景により、多くの企業や組織が書類の電子化に取り組み、デジタル時代に適応したビジネス環境の構築を目指しています。
電子化するメリット
書類を電子化することで、組織は様々な利点を得ることができます。以下に主なメリットを詳しく説明します。
コスト削減
- 保管スペースの削減：書類保管用のキャビネットや倉庫が不要になり、オフィススペースを有効活用できる
- 印刷・複写コストの削減：ペーパーレス化により、紙、インク、トナーなどの消耗品費を大幅に削減
- 配送・郵送コストの削減：電子メールやクラウドサービスを利用した文書共有により、郵送費や宅配便費用を削減
業務の効率化
- 文書へのアクセス時間の短縮：デジタル検索機能により、必要な文書を瞬時に見つけ出すことが可能
- 同時アクセスと共同編集：複数の従業員が同時に同じ文書にアクセスし、リアルタイムで編集することが可能
- バージョン管理の容易さ：文書の変更履歴を自動的に記録し、最新版の管理が容易になる
検索性の向上
- 全文検索機能：キーワードを使って文書内の特定の情報を素早く見つけ出すことが可能
- メタデータ活用：文書の作成日、作成者、カテゴリーなどのメタデータを利用して効率的に検索
- 複数条件での検索：複数のキーワードや条件を組み合わせた高度な検索が可能
テレワークへの対応
- リモートアクセス：インターネット経由で世界中どこからでも必要な文書にアクセス可能
- コラボレーションツールとの連携：クラウドベースの文書管理システムと、ビデオ会議やチャットツールを連携させ、円滑なコミュニケーションを実現
- モバイルデバイス対応：スマートフォンやタブレットからも文書の閲覧・編集が可能
セキュリティ対策
- アクセス制御：ユーザー権限の設定により、機密文書へのアクセスを適切に管理
- 暗号化：重要な文書やデータを暗号化し、不正アクセスから保護
- バックアップと災害復旧：クラウドストレージを利用することで、自然災害や機器故障によるデータ損失のリスクを軽減
以上のメリットにより、書類の電子化は組織の生産性向上、コスト削減、リスク管理の改善に大きく貢献します。
電子化するデメリット
書類の電子化には多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットやリスクも存在します。これらを理解し、適切に対策を講じることが重要です。
システム導入などのコスト
- 初期投資：スキャナーやデジタル化のための専用機器の購入費用
- ソフトウェアライセンス費用：文書管理ソフトウェアの購入やサブスクリプション費用
- トレーニングコスト：従業員に新しいシステムの使用方法を教育するための費用
オペレーションの変化
- 業務プロセスの再設計：既存の業務フローを電子化に合わせて変更する必要がある
- 従業員の抵抗：慣れ親しんだ紙ベースの作業から電子システムへの移行に対する抵抗
- データ移行の課題：既存の紙文書を電子化する際の時間と労力
機器の障害などのリスク
- ハードウェア故障：サーバーやストレージデバイスの故障によるデータ損失のリスク
- ソフトウェアの不具合：システムのバグやエラーによるデータ破損や紛失
資料の閲覧性が落ちる
- 画面サイズの制限：大型の図面や複雑な表を小さな画面で閲覧する際の不便さ
- デジタル疲労：長時間のデジタル画面の閲覧による目の疲れ
- 直感的な操作の制限：紙文書のような自由な書き込みや付箋貼付けが制限される可能性
以上のデメリットを認識し、適切な対策を講じることで、電子化のメリットを最大限に活かしつつ、リスクを最小限に抑えることができます。組織の規模、業種、取り扱う文書の性質に応じて、最適な電子化戦略を立てることが重要です。
書類を電子化するためのステップ
書類の電子化を成功させるためには、計画的かつ体系的なアプローチが必要です。以下に、効果的な電子化プロセスを5つのステップで説明します。
STEP1 電子化の目的と目標を決める
- 現状分析：現在の文書管理の問題点や非効率な部分を洗い出し、電子化によって解決したい課題を明確にする
- 目的の設定：コスト削減、業務効率化、情報セキュリティ強化など、電子化の主な目的を定め、組織全体の戦略や長期的なビジョンとの整合性を確認する
- 具体的な目標設定：数値化可能な目標（例：保管スペース30%削減、検索時間50%短縮）を設定する
STEP2 電子化する書類を特定する
- 文書の棚卸し：組織内のすべての文書を洗い出し、リスト化し、文書の種類、数量、保管場所、利用頻度などを調査する
- 優先順位付け：法的要件、業務上の重要性、利用頻度などを考慮して優先順位をつける
- 法的要件の確認：各文書の法定保存期間や原本保管の必要性を確認する
STEP3 電子化したデータの保管、運用ルールを決める
- ファイル名やフォルダ構造の規則設定：統一されたファイル命名規則を策定し、論理的で検索しやすいフォルダ構造を設計する
- メタデータの定義：文書の属性情報（作成日、作成者、文書種類など）を定義し、効率的な検索や分類を可能にするタグ付けルールを決める
- アクセス権限の設定：役職や部門に応じた適切なアクセス権限を設定し、機密文書の取り扱いルールを明確化する
STEP4 電子化する方法を決める
- 電子化の手段選択：社内でスキャンするか、外部業者に委託するかを決定し、必要な機器（スキャナー、OCRソフトウェア等）を選定する
- ワークフローの設計：電子化作業の具体的な手順を設計し、品質チェックや承認プロセスを含めたワークフローを策定する
- セキュリティ対策の検討：データの暗号化、アクセスログの管理方法を決めて、ウイルス対策ソフトの導入やファイアウォールの設定を計画する
STEP5 電子化を行なう
- パイロットプロジェクトの実施：小規模な範囲で電子化を試行する
- 段階的な展開：部門や文書種類ごとに段階的に電子化を進める
- 品質管理：スキャン画質やOCR精度のチェックを行う
以上のステップを実行して、効果的かつ効率的な書類の電子化を実現できるでしょう。
電子化する方法やソリューション
書類の電子化を実現するには、様々な方法やソリューションがあります。組織の規模、予算、電子化する文書の量や種類によって、最適な方法は異なります。主な電子化の方法やソリューションは以下の通りです。
複合機でのスキャニング
複合機（コピー機、プリンター、スキャナー、FAXの機能を併せ持つ機器）を使用したスキャニングは、多くの企業で採用されている一般的な電子化方法です。
メリット
- 既存の機器を利用できるため、追加投資が少ない
- 操作が比較的簡単で、社員自身が電子化作業を行える
- 必要に応じてその場で即時に電子化できる
デメリット
- 大量の文書を処理する場合、時間がかかる
- OCR機能が限定的な場合がある
- 高度な画像処理や自動分類が困難な場合がある
主な機能
- PDF形式での保存
- ネットワークフォルダやクラウドストレージへの直接アップロード
- 基本的な OCR 機能（機種による）
活用例
- 日々発生する少量の文書の電子化
- 部門ごとの文書管理
- 簡易的な文書共有
電子化代行サービス
専門業者に文書の電子化を依頼するサービスです。大量の文書を一括で電子化する場合や、高度な処理が必要な場合に適しています。
メリット
- 大量の文書を短期間で電子化できる
- 高品質なスキャンと OCR 処理が可能
- セキュリティ面での信頼性が高い
デメリット
- コストが比較的高い
- 文書の外部持ち出しに伴うリスク
- 即時の電子化が難しい
主なサービス内容
- 大量スキャニング
- インデックス作成、メタデータ付与
- 電子化データの納品（ハードディスクやクラウド経由）
活用例
- 過去の紙文書の一括電子化
- 帳簿や伝票など、大量かつ定型的な文書の電子化
- 機密性の高い文書の安全な電子化
各種クラウドサービス
文書管理や業務プロセスを包括的に電子化するクラウドベースのサービスです。文書の保存、共有、編集、承認ワークフローなどの機能を提供します。
メリット
- 初期投資を抑えられる
- 場所を問わずアクセス可能
- 自動バックアップやセキュリティ対策が充実
デメリット
- 月額・年額の利用料が発生
- インターネット接続に依存
主な機能
- 文書の保存・管理
- バージョン管理
- アクセス権限設定
活用例
- 社内文書の一元管理
- プロジェクト別の文書共有
- 承認プロセスの電子化
OCR (光学文字認識)
スキャンした画像データから文字情報を抽出し、編集可能なテキストデータに変換する技術です。単独のソフトウェアとしても、他のソリューションに組み込まれた機能としても利用されます。メリット
- 紙文書の内容をデジタルテキスト化できる
- 検索可能な文書を作成できる
- データ入力作業を大幅に削減できる
デメリット
- 100%の精度は難しく、人による確認が必要な場合がある
- 手書き文字や特殊なフォントの認識精度が低い場合がある
- 高度なOCRソフトウェアは比較的高価
主な機能
- テキスト抽出
- レイアウト解析
- 表やグラフの認識
活用例
- 請求書や領収書からのデータ抽出と会計システムへの自動入力
- 名刺情報の自動デジタル化
- フォーム入力データの自動抽出
以上の方法やソリューションは、単独で使用することもできますが、多くの場合、複数の方法を組み合わせて使用することで、より効果的な電子化を実現できるでしょう。
当社は電子化代行サービスを承っております。お気軽にお問い合わせください。
