有限会社ダック 
製造業や建設業において、図面管理は避けて通れない重要な業務です。しかし、年々増え続ける製本図面の保管場所に頭を悩ませている企業も多いのではないでしょうか。本記事では、製本図面をスキャンしてデジタル化することで得られる大きな利点について詳しくご紹介します。
保管スペースの劇的な削減効果
従来の製本図面は、専用の保管庫や大型の図面棚を必要とし、オフィスの貴重な空間を占有してきました。A1サイズやA0サイズといった大判図面を何百冊、何千冊と保管している企業では、その保管場所だけで数坪から数十坪もの広さが必要になることも珍しくありません。
これらの図面をスキャンしてデジタル化することで、物理的な保管スペースはほぼゼロになります。数十平方メートルの保管室に収められていた図面が、手のひらサイズの外付け記憶装置一つに収まるようになるのです。空いたスペースは会議室や作業場として有効活用でき、オフィスの生産性向上にも寄与します。
保管コストの大幅な削減
物理的な図面保管には、想像以上に多くのコストがかかっています。保管場所の賃料はもちろんのこと、温度や湿度を管理するための空調費用、防虫・防カビ対策費、そして図面を整理・管理する人件費など、年間で見ると相当な金額になります。
デジタル化により、これらの維持管理費用がほぼ不要になります。初期投資としてスキャン作業の費用は発生しますが、長期的に見れば大幅なコスト削減が実現できます。特に都心部でオフィスを構える企業にとって、坪単価の高い保管スペースを削減できる効果は絶大です。
PDFによる共有の容易さがもたらす業務効率化
スキャンした図面をPDF形式で保存することで、業務効率は飛躍的に向上します。PDFはあらゆる端末で閲覧できるため、社内外で図面を簡単に共有できます。パソコンはもちろん、タブレット端末やスマートフォンからでも図面を確認できるようになり、現場での作業効率が格段に上がります。
この共有の容易さは業務効率化に直結する大きなメリットです。例えば、客先での打ち合わせ中に急遽必要になった図面も、クラウド上に保存しておけば即座に呼び出して確認できます。また、在宅勤務や出張先からでも必要な図面にアクセスできるため、働き方改革の推進にも貢献します。従来のように図面を探すために事務所に戻る必要もなく、メールで簡単に関係者と共有できるため、意思決定のスピードも向上します。
検索性の向上による時間短縮
デジタル化された図面は、ファイル名や日付、プロジェクト名などで瞬時に検索できます。従来の製本図面では、目的の図面を探すのに数十分かかることも珍しくありませんでしたが、デジタル化により数秒で必要な図面を見つけ出せるようになります。
また、図面内の文字情報を認識する技術を活用すれば、図面内の特定の部品番号や寸法値からも検索が可能になります。これにより、過去の類似案件を参照する際の効率が大幅に向上し、設計業務の生産性向上にもつながります。
セキュリティの強化と災害対策
紙の図面は、火災や水害などの災害により一瞬で失われる危険性があります。また、盗難や紛失のリスクも常に付きまといます。デジタル化した図面は、複数の場所にバックアップを保存することで、これらのリスクを大幅に軽減できます。
アクセス権限の設定により、機密性の高い図面は特定の担当者のみが閲覧できるようにすることも可能です。閲覧履歴も記録されるため、情報漏洩のリスク管理も強化されます。
環境への配慮
大量の紙を使用する製本図面から、デジタル図面への移行は、環境保護の観点からも重要な取り組みです。紙の使用量削減は森林資源の保護につながり、企業の社会的責任を果たすことにもなります。
まとめ
製本図面のスキャンによるデジタル化は、保管スペースとコストの削減だけでなく、業務効率の向上、セキュリティの強化、環境への配慮など、多方面にわたる利点をもたらします。初期投資を躊躇される企業も多いかもしれませんが、中長期的な視点で見れば、その投資効果は計り知れません。図面管理の課題を抱えている企業にとって、デジタル化は避けて通れない重要な経営課題といえるでしょう。
